Dance In The Dark
□#3 凱旋
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ポケットをまさぐると、固く冷たい金属の感触を認めた。
スッ、と取り出したそれは………カギ。しかも普通の家の合鍵ではなく、車両のそれである。
ターミナルを出た後、しばらく大久保は歩き、着いた所はカーポート。
全面シルバーで屋根はウェーブし、上はガラス張りでしかもかなり広く高いので近未来的な風格を漂わせている。そして横にバァァッとドアが並び、トラックの輸送基地を彷彿とさせる。
大久保は向かって右へ歩き、『0045』と書かれたドアへ向かう。
入口の右脇にあるキーボードでパスワードを入力すると、ウィーン……という音と共にゴゴゴ……と地響きのような音が鳴り、何かが下へ降りてくる。
そしてまたウィーン……と音がして、彼の正面にあるドアが開く。
顕れたのは、黒光りするプジョーの外車。
といっても、彼のものではなく借り物である。
彼はあまり車は乗らないので、使う時は友人に借りることが多い。
ドドド……と車が前にせり出してくる。
大久保はキーの『UNLOCK』のボタンを押して車の後部座席のドアを開けキャリーケースを放り込むと閉め、左ハンドルの運転席に乗りエンジンをふかす。
胸ポケットから取り出したのはサングラス。黒でミラー機能がついている。実はグッチのものだったりする。
そして車を発車させた。