短編小説
□バランスの悪い三角形
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「え〜まじで・・・」
山ちゃんの、情けない声が体育館に響く。
「当たり前じゃん、最初から決めてたでしょ。シュートが入らなかったら次の試合中に罰ゲームって」
体育の授業の合間のちょっとしたお遊び。
使ってないバスケットゴールめがけて同じ位置からシュートして、入らなかったら罰ゲーム。
結果は山ちゃんだけ入らなかった。
「僕は入ったもんね。試合はじっくり見学しとくからがんばってね」
「俺も〜」
「くそ〜こういう時絶対だめなんだよな・・・」
山ちゃんが、そうぼやきながら、俺たちのほうを振り返った。
「しっかり見とけよ。本気だから」
なんて。
「本気だって」
「あはは」
俺と知念は顔を見合わせて笑った。
「本気でやると思う?」
知念が床にぺたんと座ると訊いて来た。
「山ちゃんって、スイッチ入ると結構なんでもやるからなあ・・・」
「でも山ちゃんの罰ゲームは、”試合中に好きな子を、名指しで投げちゅー”だよ」
「うーん・・・無理じゃない?」
無理・・・だよなあ。
さすがにこんなに学校の連中がいる中で。
できたら山ちゃん勇者。
俺なら無理かも。
そもそも俺の場合は、絶対叶わないってわかってるし・・・
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