長篇小説
□彼女
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その日の現場では、あからさまに涼介の事を避けちゃった。
なんでかわかんない。
もう僕の涼介じゃないって思ったら、なんだかいつもみたいには甘えられない僕がいた。
「あの話聞いたの?」
そんな僕を見てか、裕翔君がソファに座ってた僕の隣に詰めて来る。
「・・・知ってたの?」
「あー、まあ知ってたっていうか昨日聞いたんだよ」
「あっそ・・・」
裕翔君のほうが先に知ってるんだ・・・
僕は、今まで自分が一番涼介のそばにいるって思ってた。
涼介の事なら、
僕が誰よりも知ってるって思ってた。
思いあがり・・・
だって、あの子の事が好きだなんて、
今日まで全く気づかなかった。
なんだかイライラする。
だけど顔には出せない。
口に出したら誰かにあたってしまいそうで、ぎゅっと1日、押し黙った。
「彼女」かあ・・・
いつかそんな日が来るってわかってたよ。だけどいざ来てみたら、
やっぱり・・・すごく切ないな
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