散文
□キス
1ページ/1ページ
ふいに、触れた唇の熱に目を開けられなかった。
涼介が僕の部屋に泊まった日。
真夜中に触れた唇。
そっと優しく、重なっただけのキス。
目を開けられず、寝たふりした。
なんでキスしたの?と訊けないまま、また今日も一緒に寝るのはきっと期待してるから。
寝たふりして、その時を待つ
今度こそ目を開けて、そして訊くんだ。
ねえ、
なんでキスしたの?
何度もリップクリームを塗った唇に、自分でそっと触れてみる。
涼介はまた触れてくれるだろうか。
もし二度とチャンスが来ないなら、その時は僕が眠ってる涼介の唇にキスしよう。
そして涼介も訊いて欲しい
ナンデ キスシタノ?
そして僕は答える。
僕、涼介の事が・・・
2012.8.14