散文
□涼介は読書中
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本を読んでる涼介は何だか妙にかっこいい。
ニコニコキラキラ笑顔のアイドル涼介もかっこいいけど、こうやって眼鏡をかけて眉間にしわを寄せちゃって真剣な顔・・・まぁ、読んでる本は金田一少年だけど。
鼻が高いから眼鏡が似合うのかな。
こんな顔はファンの人にもなかなか見せないよね。と、ちょっと優越感に浸ってみたりして。
「ねえ涼介」
「うん」
「その漫画面白い?」
「うん」
漫画に熱中してる時の涼介は、だいたい僕の話をあまり聞いてない。
「僕って可愛いよね」
「うん」
「僕の事好き?」
「うん」
ハイ、ちょっと満足。
あ、携帯で録音しとけば良かったかも。
「僕も涼介が好きだよ」
って言ったら返事がなかったので涼介を見ると、涼介は漫画に目を落としたまま。
だけどよく見たら耳が赤い。
もしかしてちゃんと聞いてたのかな。
「聞こえてた?」
と訊いたら、「知らん」と向こうを向いてしまった。
僕だってこんな風に、どさくさ紛れじゃないと言えないけど、いつかちゃんと言ってみようか。
それとも言ってもらおうか。
なんてね
.2012.7.18