散文

□君が見る夢。
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「眠いの?寝てもいいよ」

「ん・・・」

当たり前みたいに自然に、僕の膝に頭を乗せて涼介は、1分もしないうちに寝息をたてた。 

僕はそっとその髪に触れて、閉じられた涼介の目蓋を、唇を、薄くて透けるような白い肌を静かに眺める。


このまま時間が止まればいいのに。




僕たち、いつまでこうしていられるかな。

最近はそんな風に考えてしまう。

去年までは毎日会える日常が、永遠みたいに思えたのに。


ひとりの仕事が増えたね。

これからどうなって行くのかな。 


僕が弱気になると、いつも涼介は「だめだよ」って優しく叱ってくれるけど、やっぱりひとりの仕事は寂しくて、心細くて、みんなの所に飛んで行きたい、涼介の所に帰りたいって、つい思っちゃうんだ。


ひとりの仕事なんて、まだそんなにしたくない。

そんな事を僕が思わず言ってしまった時は、 

「事務所が一生懸命とって来てくれた仕事だからね」

涼介がそう言って、僕の頬をぺちぺちと優しく叩いた。

どんなに欲しくても、手に入らない人がたくさんいるんだから、自分に来た仕事はどんな仕事でもすごく大切にしなきゃダメだろって。 

僕を叱ってくれる涼介。


出会えて良かったな。


70億人の中から涼介に出会えた僕はとても幸せなんだ。 

奇跡みたいな事。 

ずっと失いたくない。

ずっと。 

 

もしも世界が僕たちふたりきりなら・・・

それならきっと、涼介の事好きだよって素直に言えるのに。


僕の膝の上で、涼介がもぞもぞと動いた。目蓋がほんの僅かに震えて、フッと口元が笑った気がした。


どんな夢を見てるの
夢の中、誰を想ってるの

そっと涼介の胸に手を触れて、目を閉じてみる。


ねえ涼介

その世界に、僕はいますか


 

2012.6.18 


 


 





 

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