散文
□月
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空に細く浮かぶ月
「爪みたいだね」
「ああ、猫の爪とか?」
「ううん、指の、切った爪みたい」
「たまにさ、月がすげえデカくて不気味な時あるじゃん」
「あるね」
「あれ見ると怖いよな、終末かって思う」
「週末はスクールの収録」
「バカ、そのしゅうまつじゃねえよ」
月がおっきいのはね、月と地球の距離が近づいてる時で、周期が決まってるんだよ
って前に裕翔君が言ってたけど。
「終末なんて来ると思う?」
「いつかは来るんじゃない」
「お前と一緒にいるかもな」
「かも」
地震の時も、涼介と一緒だったもんね
「涼介と一緒じゃない時には、来ない気がする」
「じゃあ、俺たち離れてたほうがいいのか」
「地球のために?」
「地球を守るか、お前といるか」
「ふふ、どっち?」
涼介が笑って僕の手を取った
「こっち」
爪みたいな月が見てるよ。
ねえ涼介、明日は晴れるかなあ
.2012.6.14