短編小説

□恋に似ている
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「嫌なんだけどマジで」

涼介がごねる。

今朝から100回くらい聞いた同じ台詞。
その度に僕は、ハイハイなんて適当に返事をしてる。


「お願いだからやめて」

「だって仕事だし」

このやりとりの繰り返し。


何を必死に涼介がやめさせたがってるのかって言うと、今度の仕事でちょっと危ないアクションシーンを、僕がスタント無しでやるって事。

そりゃ僕だってちょっと怖いけど、スタント無しでやるって話は話題になるし、実際はかなり安全対策がされてるし。

本当に危険な事は事務所だって止めてくれる。
だからスタッフを信じてやるしかない。


「涼介だってもし僕の立場だったらやるでしょ? 僕はちょっと楽しみにしてるくらいなんだから」

何度そう言っても涼介は不機嫌だ。



"RHマイナスAB型"

僕の血液型が、ちょっと珍しいって事を涼介はいつも気にする。

たいした事がない怪我でも血相変えて飛んで来て、泣きそうな顔で心配してくるんだから、

僕の親より過保護。


そりゃ大事故で大量に輸血が必要って時は確かに危ない時もあるけど、そんなのは他の血液型だって同じだよって、

何度も何度も説明してるんだけどな。


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