長篇小説
□trois
1ページ/63ページ
【不可解な三角・R】
小さな身体を丸めて、裸のままで眠っている知念のあどけないその顔を、裕翔が見つめている。
「布団かけてやって」と俺が言うと、裕翔は無言で知念の肩にタオルケットをかけた。
つい先日、肌触りが良いとねだられて俺が買った、知念の気に入りのタオルケット。
俺はカバンを置いて、自分の携帯を充電しながら知念のスケジュールをチェックする。
明日は昼過ぎまでオフ。
お互いゆっくり出来ると安心して頬が緩んだ。
これで裕翔さえいなければ、完璧なんだけど。と、チラッと見たら
「俺もう帰るよ」と、裕翔はベッドから立ち上がってシャツに腕を通した。
シャワーを浴びたのか、髪の毛がまだ濡れている。
.