長篇小説

□幸福な王子
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”仲間がみんな南の方に移動して、寒い季節がやってきても
つばめは王子のそばから離れませんでした
心から王子を愛していたからです”




「嵐の曲かけて」
「んーどれ?」

身を乗り出して、山田が車に繋げたipodをスクロールする

「俺、なんか一人損じゃね?」

運転席で高木がぼやいた。

山田と知念、それから高木、助手席に有岡。

たまたま番組収録後のノリでそのまま向かった、珍しい組み合わせでの1泊那須旅行。

あたりはすでに暗く、到着は早くても18時くらいだろう

「だいたいこの時期に那須ってさ」

「車で行けて、人がいなくて旅行気分味わえる所がいいって言い出したの雄也だよ」

「まあそうだけど」


避暑地である那須に冬に行くのはスキー客くらいだ。
しかも4人は特にスキーが目的でもない。


「イチゴ狩りしようよ」

「温泉入りたい」


ガイドブックを手に、後部座席では山田と知念が盛り上がっている。

「明日の夕方には都内に戻らないとなんないんだからなー」

有岡が口を挟んだ。

仕事のスケジュールが入ってるので、そうそうゆっくりもしていられない。


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