長篇小説
□てぶくろ
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「会いたいな」
思わず声に出してしまって慌てた。
撮影中にかかってきた涼介からの電話。
特に用もなくかけてくれたことが嬉しくて、涼介の声になんだかホッとして
・・・でも逆にさみしくなって。
無意識に口からこぼれた言葉。
3日も会わないなんて事、3年近くなかったから
ちょっと不安定なのかな
少し黙っちゃった涼介に
「ごめん、うそ。なんか気持ち悪い事言っちゃった」
って慌てて言った。
「あさっての土曜日、雑誌の仕事で会えるしね」
そう付け加えたら、
「土曜も雑誌の後また撮影なんだけど、ちょっとだけ2人でお茶でもしよっか」
涼介が言ってくれた。
優しいね、いつも。
「忙しいのに無理しなくていいよ」
それより少しでも休んでね
涼介もドラマの撮影。
主演だから撮影シーンも多いし、ドラマ絡みの取材も多くて全然休めてないって聞いてる。
いつも全力で頑張って、カメラの前では疲れた素振りを見せないで、悲しい時も力強く立ってる。
そんな涼介は僕の大好きな友達だけど、すごく身近な存在なのに、憧れでもある。
本当に尊敬できる人。
毎日会えるのが当たり前だったから、たった3日会わないだけで寂しいなんて
「お前は俺の彼女かよ!」って
また笑われちゃうかな
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