散文
□赤い糸のはなし。
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撮影で使った毛糸を弄んでいたら隣に座ってる涼介が「貸してみ」と言うので手渡した。
赤い毛糸。
涼介はその結び目をほどいて、端っこを僕の指に結ぶと、
「運命の赤い糸」
と、笑う。
ぷらんと垂れ下がった赤い糸。
「運命が切れちゃってるよ」
と僕が言ったら、
「それはこれから自分で見つけなさい」
と言う。
なんだかちょっとムカついたので、その切れた端を涼介の小指に結んであげた。
つながる赤い糸。
簡単にほどける糸でも、赤くなくても、そこに何かは繋がってるのかなあ。
「見つけた」って言ったら、涼介は赤い糸がくっついた手で僕の肩を小さくパンチして、「バカ」って笑った。
赤い糸のはなし。
2012.8.30