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□ただの日常
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彼女はいつも僕の家に来ていた。
もしかしたら、24時間ずっといるのでは?と思ってしまうくらい頻繁なのだ。
「おかえり、バニーちゃん」
仕事が終わって帰宅した僕を待ち構えていたかのように、扉を開けた先には名無しさんが笑顔で立っていた。
「 名無しさん…。もしかして、僕が帰ってくるまでずっと玄関で待っていたんですか?」
彼女の頬に触れると若干冷たい。
「うん。だって一秒でも早くバニーちゃんに会いたかったから」
そう言って幼い顔で笑う彼女が、とてつもなく愛しい。
手を繋いでリビングへ入ると、ソファーの上や至るところに 名無しさんの私物が乗っている。
名無しさんが僕の家に通うようになってから、彼女のモノがやたらと増えたのだ。
ウサギのぬいぐるみから彼女のお菓子まで。
今まで付き合ってきた女性とは違う。
彼女がまだ学生と言う面でもそうだが、何か違う。
マイペースな彼女に、いつもなにも言えなくなるのだ。