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□思いきって君と付き合うことにした
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教室につくとそこにはもう真田しか残っていなかった。

こんな閑散とした教室に残ろうなどという物好きは真田のクラスにはいないようだ。

俺が入って来る音で真田はこちらに気がついた。

「幸村」

「やぁ、待たせたかな」

「いや、急に呼び出してすまん」

真田は俺に自分の正面に座るように促した。

「別にいいよ、特に用事もなかったし。話って?」

「うむ、まぁ…な、」

普段の真田にはあり得ない、歯切れの悪い返事だ。

「なんだよ、渋って。何か言い辛いこと?」

俺が急かすと真田は少し困ったように眉尻を下げる。

「言い辛い…とゆうかだな、お前の気に触るのではないかと… 」

なんだよ、それ。

真田が他人の機嫌を気にするなんて。

さっきから何だか真田は落ち着きがない。

とは言え渋られれば渋られる程聞きたくなるのが性というもので

「なんだよ、呼び出しておいて今更だろ。俺が、お前の言うことで気を悪くするはずないじゃないか」


「…本当にいいのか?」

「くどいぞ、真田」

俺がしびれを切らしたように言うと、さすがに諦めたのだろう、真田は『いいだろう』と小さくつぶやいた。
「幸村!」

「なっ?!」

真田が急に大きな声を出すから驚いちゃったじゃないかっ!

と、文句を言おうとして俺は固まった。

本当に文字通り固まった。


手、が、



俺の手が、真田の手にしっかりと握られていた。

……。

………。

はぁ?!

ちょっとどうしたんだい真田何でいきなり手なんて俺の手に何かついてたかなそうに違いないあぁそれとも手が寒いのかなそうだよねまだ冬だもの人肌での温め合いは防寒の基本だよはははそれにしてもカイロぐらい持ってきたらいいだろうにまった

「…き村、幸村!」

「ひぃ!」

みっともない声がでてしまったが今はそんな場合ではない。


ふと見ると真田が

じっと俺を見つめている
テニスをしている時の目だった。
熱っぽくて真剣で

「幸村、」

…声も、熱っぽくて

俺の手を握る手に力が入って
真っ黒な瞳に吸い込まれそうで

真田が小さく息を吸う音がした。

「幸村、俺は、お前のことが好「まて!!早まるな真田っ!!」


俺は全力で真田の言葉を遮った。


いやいやいやいや!!
いかんだろこの空気は

とゆうかコイツは今何て言おうとした?

好きとか言おうとしたか?
この流れはそうだよな?

真田が、俺に?

チラリとヤツの方を見れば言葉を遮られたことに、とゆうかむしろ俺の百面相に驚いたようにこちらを見ている。
くそっ誰のせいだよ、誰の!


いや、待てよ。

コイツは今本当に好きと言おうとしたか…?

『お前のことがすき焼きに見えてしかたがない』
の可能性だって十分にあるんじゃないのか?

考えれば考えるほど色んな可能性が見え始める。

そうだ、こんな雰囲気のせいで勝手に告白だなんて思いこんでしまったが。

冷静に考えればそんなことあるはずがないじゃないか。
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