本気
□レスター'sレポート
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ニアに呼ばれて、私は再びニューヨークへと舞い戻った。
この頃は、昼でも治安の悪い連中の姿が目に入る。
人々は何かにつけて裁きと言い、物騒な思想を振りかざすようになった。
その中には、ニアの言う通りキラを心から崇拝しているものも、そうでないものもいる。
反国家的精神の正当化。
アメリカは荒れていた。
私が扉を開けると、背を向けて何かに没頭していたニアはひょいと顔を上げ、肩越しにこちらを見た。
確か初めて顔を合わせたときもこうだった、と思う。
顔を上げ、こちらを見るや開口一番に、
「レスター指揮官ですね?」と言ったのだ。
面食らいながら頷いた自分を覚えている。
目の前にいるニアは、ついと部屋の角を指して言った。
「あれをお願いします」
そこには、ニアのお気に入り(であろう)玩具が、一応片付いた形で並べられていた。
しかしこのままでは持っていけない。
私は大きめのトランクの中にそれらを詰め込むことにした。
プレゼントを袋に詰めるサンタクロースのようだ、と下らない思考が働く。
すると、ニアが言った。
「もうじきクリスマスですね」
同じことを思ったらしい。
下らなかった私の思考が少し救われた。
「レスター指揮官。サンディクローズは本当にいると思いますか?」