冗談
□一つ屋根の下A
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『きょ〜うの、嬉しかった顔、今日の、か〜な〜しかった顔!』
引っ越しの片付けも一通り終わったその夜。
ライトと竜崎は、浜崎あゆみのコンサートDVDを、捜査用のモニターにデカデカと映して盛り上がっていた。
『あなたなら〜誰に見せてる、私なら〜誰に見せればいひ〜…(←高音瀕死)』
そこへ、このシリーズのまとも担当の粧裕が入ってきた。
「お兄ちゃん、ご飯だよ」
「え?ご飯?何だ、折角フィーバーしてたのに…」
「し〜あわ〜せの〜、基準はい〜つも〜…」
まだ歌い続けてる竜崎。
「竜崎、ご飯だってさ」
「あと1コーラスで終わります」
「そうか、じゃあ僕も…」
二人で1コーラスだけ再フィーバーし、食堂へと向かった。
既に食堂の長いテーブルには、全員が揃っていたが、そのテーブルに並べられているのは……。
「これは、何ですか」
ニアが言う。明らかに不機嫌な声だ。
「知らないのか、猫まんまだよ」
答えたのはメロだった。
「あの頃は…これが俺の主食だった。…あと、時々卵掛け」
「ビンボは黙ってて下さい。なぜこれがこの立派なビルの食卓に並ぶものとして認められるのかということです」
茶わんに両手を添えて感慨に耽っていたメロは、その一言にスッと笑顔を引っ込め黙り込んだ。
「…私もそこは納得しかねます。昨日はあんなにご馳走だったじゃないですか」
竜崎がそう言うと、それまで俯いていたワタリが口を開く。
「お金がない」
バキッ!!
Over the Trable!
一同が目を丸くしたのは、ワタリの言葉かそれともライトによって殴り飛ばされた竜崎か。
「クズ!食事中に何をしている!」
「どういうことだ竜崎!」
「どういうことだはそっちですよ…」
「これじゃ木賃宿にいるのと変わらないじゃないか!」
「大体ライト君はいつも、殴るタイミングが唐突すぎます」
「質問に答えろ!Lは莫大な資産の持ち主だった、そうだな?」
「そうです」
「そして竜崎、Lはお前だ、違うか?」
「はい、ライト君に乗っ取られました」
「恨みがましいんだよ!」
またも唐突なライトの鉄拳を、竜崎はすんでのところでかわした。
「言いたいことは分かります。ですが私の遺産は全てニアにあげてしまいましたので」
全員の視線がニアに集まる。
「…お前、持ってんなら出せよ」
「嫌です」
「独り占めはんたーい」
ミサが拳を高く振り上げて抗議する。