冗談
□一つ屋根の下C
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捜査本部の一室。
夜神月と竜崎は、背中をまるめて机に目を落としていた。
その手には、タッチペン。
「竜崎、お前の村、雑草が生えてるぞ。抜いてあげるよ」
「結構ですライト君。そのままにしておいてください」
「何でだよ、汚いだろ」
「どこまで村が荒廃するかという実験をしてます。お願いですから引っ込んでてください」
「えい」
「!!!」
ドカッバキッ…
そこへ、いつものパターンで弥海砂が入ってきた。
「あー、二人ともやっぱりここにいたぁ〜」
殴り合う二人と、足元に転がったニ●テンドーDS。
その画面には、のどかな緑色の風景。
「てか今時どう◆つの森なんて古いよね」
ミサの聞き捨てならない台詞に、二人の動きがとまった。
「ミサ、お前森を侮辱するのか?楽しいんだぞ、お金貯めて★ぬきちの店でお買い物…」
「そんなのより、今はこれだよ〜キラゲーム!!」
『キラゲーム!?』
「そー!プレイヤーはLかキラの役職を選び、一人一人の発言から誰が敵で誰が味方かを見極める究極の頭脳戦…」
「何だ?↑のは本当にミサの台詞か?」
「7%です」
「ちょっと何それ、ミサである確率低ッ!」
「"〜である確率"とか使ってるぞ」
「まさか、ゲームは既に始まっているんですか?」
「ライト…竜崎さん、キラゲームが分かんないからって話逸らさないでよ」
「うわ、ミサさん何やら疑り深くなっていませんか、ねぇライト君」
「………まあ、僕は知ってたけどね」
「!!!」
ライトはふんと肩をすくめて竜崎から距離をとった。
「僕はキラゲーム知ってたよ。竜崎が可哀相だから知らないふりしてやったんだ」
突然の裏切りに、竜崎は目を白黒させた。
しかし、ただでは転ばない。
「…それは、安心しました」
「安心?」
ライトの眉がぴくりと動く。
「はい。実は私も、ライト君が可哀相と思って知らんぷりしてました。でも、知っていたなら安心です」
「な、なーんだ。お互いに無駄な気を遣っていたってことか」
「そうですね…」
やがて、二人の浅はかなやり取りを退屈そうに聞いていたミサが、ようやく口を開いた。
「二人ともかっこ悪くない方向にまとまったー?話進めていいかなぁ」
毎度のことながら、この二人の負けん気の強さには辟易する。