冗談
□一つ屋根の下A
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「私が貰ったものですから」
「だったらこの飯に文句言うなよなぁ〜」
大人しく猫まんまを食べていたマットの言葉に、メロも力強く頷いた。
「それとこれとは別です。とにかくLの遺産については譲りません。これから先、結婚、出産、育児、何かとお金がいるので」
「何言ってんだコイツ?」
それは誰にも分からない。
「…なんと頑固な。誰に似たんでしょうね」
お前だよ。
ライトは心の中で突っ込み、建前は無難に神妙な顔を作った。
「なら本当に、今後どうやって生活してくんだ…これだけの人数で」
誰もが、俯いていた。
皆、不安で泣きそうだった。
…の割りには、このビルの、今の彼らには余りある備品を売り払おうと口にするものは誰一人いないのだった。
次の日。
ライトは空腹を紛らわしながら、清美の部屋でまったりと筆談していた。
清美:お腹が減って死にそう(笑)
カリカリ
ライト:僕も。今一番何食べたい?とか聞いてみる
カリカリ
清美:あ、な、た♪
カリカリ
ライト:(爆笑)
ガタン。
ライト「清美?」
清美「不愉快だわ、失礼します」
かくして清美は筆談用のメモ紙を机の上に散らけたまま、部屋を出ていってしまい、入れ代わりに竜崎が入ってきた。
「筆談、終わりましたか」
「終わったけど…」
「これを、見てください」
竜崎が取り出してみせたのは、一枚の広告。
〜夏だ!甘〜いお菓子バカ食いコンテスト☆大好きな甘味でばっちり人気者になろう!〜
「お前…」
「一番下を見てください」
「一番下?」
※優勝者には賞金壱万円!
「甘いものを食べてお金が貰える上に人気者にもなれます。私出場します」
「竜崎……………」
「はい」
「頑張れ」
「はい!」
「初代、聞きましたよ。バカ食いコンテストに出るそうですね」
「優勝します」
「メロは居酒屋でバイトすると粋がってました」
「そうなんですか?楽してお金が貰える方法があるのに」
「所詮二番です」
ニヤニヤ。
感じ悪くニヤニヤしている竜崎とニアの背後で、ガチャリと扉が開いた。
松田だ。
何やら大きな段ボールを抱えてよたよたと歩いてくる。
「松田、その荷物はどうした?」
相沢がきょとんとした顔で聞いた。一人いれば残りもぞろぞろと現れるのが日本警察だ。