本気
□Unplayable Game
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文章は人を語ると言うが、
その文が著者とはまた別の人物を語る目的で書かれた場合、
畢竟、読み手の意識は二人の人物を受け入れなくてはならない。
「」で区切られた文章と、その周りを覆う文字の羅列。
どちらも、台詞。
読者は、「」の中の言葉からその人物の心情を読み取る時、一方で別の感慨を持った人物により、描写の中に何がしかの主張を添えられるわけだ。
そんな風にして読むことが、そのノートを手にした時からの、私の義務だった。
それを見つけたのが誰なのか、どこで見つかったのかは、分からないしどうでもいい。
ただ、それが見つかったときの手配は、全世界に知らされていたことであり、こうして私のもとにある以上、徹底されていたと言える。
「L」
「はい」
パソコン越しの声に、目だけをそちらに向けて返事をする。
「このノートの存在を知っていたのですか?」
「いいえ。ですが…」
視線を落としたその先には、見慣れた癖のある文字。
「メロならきっと、こうしたものを遺していると思っていました」