本気
□レスター'sレポート
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「…うん?」
首を動かしてそちらを見る。どうやらまた少し居眠っていたようだ。
ニアは窓の外を指差す。
「海が近くなってきました」
ではもうすぐ着くのだろう。
「降りる準備をしておこう。」
空港を出た人々は、皆思い思いの表情を浮かべ散っていく。
ニアはしばらく、その行き交う人並みを眺めて棒立ちしていた。
やがておもむろに口を開き、
「さて…レスター指揮官」
と、こちらを仰ぎ見る。
「ここからもよろしくお願いします。今のところ、あなたを必要としてるのは息子さんよりもこの私ですから」
「…言い切るんだな…;」
私の言葉に、ニアは小さな口を吊り上げて笑みの形にした。
「軽いジョークです」
笑顔を見るのは初めてではないが、自分に向けられたのは、これが最初かもしれない。
「では行きましょう」
「うむ。なるべく速くリドナー達にも連絡を取らなければな」
それからしばらくして。
「じゃあ二人とも、よろしく頼む」
「あっ…指揮官、ちょっと」
連絡を取った私に、リドナーとジェバンニが声を潜めてこう言った。
「相談したいことが…」
「なんだ?」
二人はしばし顔を見合わせたあと、ややあって口を開いた。
「ニアって、サンタクロースとか信じてると思います?」
Fin(あとがき→)