本気

□レスター'sレポート
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「走っている子供が私に何か言うのだが聞き取れなかった」

あえて自分の子供だとは言わなかった。
言っても仕方のない事だ。

ニアは羽根のある怪獣を三つ首の竜に向かって突進させる。
しかし竜は長い首を器用に使ってその羽根を捕らえた。
羽根のある怪獣はもがいている。

「興味深いですね」

手を休ませずに言う。

「その子供は、なぜ走っている最中に喋ったんでしょう?」

私は首を傾げる。
夢に理由があるとは思えない。


「考えられるのは…」

羽根のある怪獣はどうにか逃れ、また空中を飛び回る。

「台詞の内容より、走っていることをアピールしたかった…」

「どういう事だ?」


「元気な証拠です」

あまりにも淡泊な返答だった。
この調子だと息子だと言うことはバレているらしい。
私は何とも言えない気持ちで、怪獣を操るニアの手元と、その向こうに広がる空を見つめる。


窓の外の景色は随分と暗くなっていた。






「レスター指揮官」
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