本気
□レスター'sレポート
4ページ/6ページ
「走っている子供が私に何か言うのだが聞き取れなかった」
あえて自分の子供だとは言わなかった。
言っても仕方のない事だ。
ニアは羽根のある怪獣を三つ首の竜に向かって突進させる。
しかし竜は長い首を器用に使ってその羽根を捕らえた。
羽根のある怪獣はもがいている。
「興味深いですね」
手を休ませずに言う。
「その子供は、なぜ走っている最中に喋ったんでしょう?」
私は首を傾げる。
夢に理由があるとは思えない。
「考えられるのは…」
羽根のある怪獣はどうにか逃れ、また空中を飛び回る。
「台詞の内容より、走っていることをアピールしたかった…」
「どういう事だ?」
「元気な証拠です」
あまりにも淡泊な返答だった。
この調子だと息子だと言うことはバレているらしい。
私は何とも言えない気持ちで、怪獣を操るニアの手元と、その向こうに広がる空を見つめる。
窓の外の景色は随分と暗くなっていた。
「レスター指揮官」