本気
□レスター'sレポート
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サンディクローズ?
私は戸惑った。
それを言うならサンタクロースでは…
言いかけて思い出した。
ニアの好きな、動く人形(どれも不気味この上ないが)が出てくる映画のことを。
その中ではサンタクロースをサンディクローズと言っていたのだったか…。
数ヵ月前の私なら気付かないところだった。
質問を切り替える。
「ニアは信じているのか?」
「はい」
即答し、手元にある紙に視線を落とす。
タワーの断片らしきものが幾つも描かれている紙だ。
「その人が本当は誰で、どんな目的があろうと…」
視線は紙の図にあるようで、ない。
「クリスマスにプレゼントをくれる人はサンディクローズです」
「なるほど…」
愛嬌のあるその言葉に思わず笑みが零れかけた私だが、
「同様に」
次に耳に入ってきた声は冷たい響きを含んでいた。
「それが本当は神で、世界平和の目的があろうと、人を殺した者は犯罪者です」
一瞬、言葉につまった。
「うむ…」
ようやく、それだけ言えた。
重いと感じたのは、持ち上げたトランクにだけではないだろう。