本気

□Unplayable Game
1ページ/6ページ


文章は人を語ると言うが、

その文が著者とはまた別の人物を語る目的で書かれた場合、
畢竟、読み手の意識は二人の人物を受け入れなくてはならない。



「」で区切られた文章と、その周りを覆う文字の羅列。

どちらも、台詞。



読者は、「」の中の言葉からその人物の心情を読み取る時、一方で別の感慨を持った人物により、描写の中に何がしかの主張を添えられるわけだ。






そんな風にして読むことが、そのノートを手にした時からの、私の義務だった。







それを見つけたのが誰なのか、どこで見つかったのかは、分からないしどうでもいい。

ただ、それが見つかったときの手配は、全世界に知らされていたことであり、こうして私のもとにある以上、徹底されていたと言える。





「L」

「はい」

パソコン越しの声に、目だけをそちらに向けて返事をする。

「このノートの存在を知っていたのですか?」

「いいえ。ですが…」

視線を落としたその先には、見慣れた癖のある文字。


「メロならきっと、こうしたものを遺していると思っていました」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ