アイドルマスター
□雪 の 日 の 告 白
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さらさらとした彼女の髪。いつまでも、触れていたいと思う。
抱きしめた身体から伝わる、女性独特の柔らかな感触。
響を抱き返しながら、冬馬はぼんやりと思う。
あぁ、街で自分達の世界に浸っているカップルも、きっとこんな感じなんだろうな……。
街で浸りきっているカップルを見る度に、何をやっているんだと思っていた。一緒に歩く彼女のほうは「冬馬もそのうち分かるさ」と言っていたが、どうやらそれは本当だったようで。
でもきっと、自分には人前でこんな事ができる人間ではないだろうと彼は思う。他人が一人でもこの場に居たのなら、きっとこんな事にはならなかったろう。静かに、雪に感謝する。
「響、お前、ずいぶんと体が冷えてるが、大丈夫か?」
「なんくるないさ〜、自分体は丈夫だからね、少しくらい大丈夫d……へくしゅっ!」
「何が大丈夫だ――……ったく、さっさ家に戻るぞ!」
「――って、先に引き止めたの、冬馬のほうじゃなかったっけ?」
「チュー、チュー」
「わんわん!」
むーどぶち壊し。
そう不機嫌そうに呟く響の口元には、笑みが浮かんでいる。
握られた手を強引に引かれ、響は少したたらを踏んで彼に着いて歩く。 そのあとにハム蔵を上に乗っけて、主たちの後を追う犬美
繋がれた手には、確かな感触。
唇に残るのは、雪の味。
――明日、キスで起こしたりしたら、君は驚くかな?
響がそんな事を考えている事を、冬馬は知らない。
END