アイドルマスター
□雪 の 日 の 告 白
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降り注ぐ雪が、津々と彼の衣服と身体を冷やした。
しばらくこの状態でいれば風邪の一つや二つ、簡単に引く事ができるだろう。
そうなれば、また怒るだろうか、我那覇響は・・・
自嘲するような苦笑いを浮かべ、手近な場所の店先へ移動する。
屋根が雪を遮るその場所では、彼の他にも数人居た。
壁にもたれかかり、先刻の言葉を思い出す。
『君に“彼女”を幸せにできるのか?』
きっと、その言葉に深い意味はなかっただろう。
それは何も知らない青年から、年下の少年に向けての言葉。
ただ、経済的な面で物事を言っているのだ、と頭では分かっていた。
だが、その言葉は彼の心を抉るには充分過ぎるものだった。
自分に、“彼女”を幸せにできるのだろうか?
我が侭だとは分かっていた。
仲良くなりたい――それだけが願いだった。
それ以上は、何も望まないはずだった。
人を好きになるのが恐かったから。
人を好きになる事で、狂ってしまうかもしれない自分が恐かったから。
ただ、傍に居る事ができればよかった。
そのはずだった。
けれど、それでも――。
「それでも、俺は……――」