アイドルマスター

□不意打ちのキス
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キスがしたい。それも不意打ちのキス。
真はそう思っていた。

僕と恋人の、北斗さんとの
身長は21cmもの差がある。
そんなに差があると
不意打ちのキスをするのは難しかった。
正面に立ち背伸びをすると
何をしたいのか気づかれる。
そうすると北斗さんは
ちょっとだけイジワルに笑って


「真ちゃん?俺とキスしたいの?」


なんてからかった後に、
僕の顔の高さまで身を折ってくる。
これでは不意打ちとは到底言えない。

もう一つの手として
彼の服を引っ張るというのもある。
最初の頃は簡単に成功して
不意打ちできていたのだけれど、
最近は気づかれてしまうようになった。
というよりも服を引っ張る
イコール、キスの合図になってしまい、
服が引っ張られると北斗さんは
僕を抱き寄せて自分をキスしてしまう。
まるで僕がキスを
おねだりしているみたいだ。
それじゃ全然駄目なのだ。


そのくせ、北斗さんはかなりの頻度で
僕に不意打ちのキスをしてくる。
それに僕は何時もドキドキさせられる。
それがちょっと悔しい。
自分だって不意打ちして
北斗さんをドキドキさせてみたい。

根っからの負けん気もそうだが、
何よりも僕は北斗さんの驚いた照れ顔が好きなのだ。
視線を逸らして気恥ずかしげにする
その顔は普段の彼よりも随分幼く見えて可愛い。
その瞬間だけ、北斗さんと自分の距離が近くなった気がするのだ。


僕がそう思っていると知ったら北斗さんはどう思うんだろうか……
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