アイドルマスター

□散髪
1ページ/2ページ

辺りに少し広めに新聞紙を広げて、
そして鏡三つをテーブルの上に並べて
冬馬は「よし」と呟き椅子に座る。

自分の顔が映るように鏡を設置し、
テーブルに置いてある鋏を手に取り、
構えた鋏を自分の前髪に当てたその時だった。

「冬馬〜今暇 〜?
って 、何やってるの?」

軽いノックと共にドアから肩にハム蔵を乗っけながら
響がひょいっと顔を出して部屋に入ってきた。


「我那覇か?
ああ、髪伸びてきたからさ、散髪しようかなって思ってよ…」

「だったら美容院行ったほうが早いんじゃない?」

「俺、ああいった所、苦手;」

「ふーん、だったら、自分が冬馬の髪、切ってあげよっか?」

「は?」


細い指が鋏を持つ冬馬の手に近付きそっと鋏を取る。

自分でやる、とは言ったものの
彼女も食い下がってきて
少し意地の張り合いになったが、
冬馬があほらしく思って先に白旗を上げた。


「んじゃ、手並みの方見せてもらうぜ?」


自称するだけあって、料理にしろ何をするにしろ器用な彼女だ。
きっと自分で切るよりも彼女が切ってくれた方がいいだろうと
冬馬は考え、憎まれ口を叩きながらも鋏は手先の器用な彼女に預けた。


「はいさ〜い、自分の華麗な鋏捌きに驚くなよ〜?」

「はいはい、お願いします、我那覇先生」


鏡越しに響が笑っているのを
しっかりと冬馬は盗み見した。


「う〜んと、どのくらいの長さが良い?」


響は彼の髪の長さ等を指で確認しながら尋ねた。


「…じゃあ1、2センチぐらいで頼む」

「うん、わかった」


彼の返答を聞き、響は鋏の刃を動かし始めたのだった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ