アイドルマスター

□君に見合う花
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軽いノックに気づいて、千早は振り返りながら答えた。


「どうぞ」


 待合室の白いドアが開いて、千早はその人物たちをとびっきりのひら笑顔で出迎えた。


「こんにちは、北斗さん、菊地さん」


「うわぁ〜待合部屋、すごいことになっているね」


「そりゃ、今では如月さんもSランクアイドルの1人だからね、頷けるよ」


「これは僕も負けてられないね」


花に埋もれている部屋の中を見て、真は瞠った。
千早はくすくすと笑って、中に入るように北斗達を促す。


「いつもはこんなにたくさんじゃないんですがね……」


誘われるまま、中に入った北斗は改めて室内を眺めた。
どれもこれも咲き誇っていて綺麗に思えるが,
季節感が全くない。
冬の花も春の花も揃っているのだ。


「なんていうか、流石日本だよね……」


 妙な感想を零す北斗に、千早は不思議そうに首を傾げた。


「だって、椿と桜……きわめつけにヒマワリも一緒って……」

「あ、ほんとだヒマワリも置いてあるんだ……」

北斗が視線を向けた方には確かにヒマワリもあり、
真もさすがに違和感を覚えた。


「わたしは、頂くことができて嬉しかったんですけど……」


 たくさんの花は人々の親愛の証だ。
 渡された時の笑顔を思い出して、千早はクスッと小さく微笑む。


「あぁ、うん」


 北斗は頷いて、千早に気づかれないように溜め息を吐いた。

(ホント、すごいな、如月さんの人気は……)
 

北斗はこの控え室に入るまでに見た人々の熱狂的な様子を思い出していた。


「どうかしました、北斗さん?」


「あ、ごめんね、本題を忘れていたよ」

 
気を取り直し、北斗は千早に向き直る。


「如月さん、復帰記念コンサート成功とお誕生日おめでとうございます」


 その瞬間、千早はふわりと花が綻ぶように微笑む。


「ありがとうございます、伊集院さん」
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