関係ない、そう言ってくれたのはあなたでした。

□最近のイケメンってブッ飛んでるの?
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4話
【最近のイケメンってブッ飛んでるの?】



揃いも揃った言葉に「俺は最強なんでね」と言った沖田に、私達はこれ以上突っ込んだら何かされそうな、よくわからない予感に口を閉じた。


さっきから見ていて思ったが、沖田という人物は取り敢えず“S”にドが付きそうな人物らしいし。



「んで。今度はテメーらの方だ」


何となく何かを察したのだろう、土方……さん、は、話を直ぐに切り替えた。



「私は希瑠利 ミオ」

「望浦 ツバキ」

「あたしは杞光 リオ。年は全員17」




順番に名前を名乗れば、まるで聞いているのか聞いていないのかよくわからない態度で返された。


山崎さんだけは頷いて聞いてくれたけれど。







すると、土方さんは何やらポケットをゴソゴソと漁り、手のひらサイズの箱を取ると吸っていたタバコをその中へ仕舞った。

……こういう仕草をみると、やはりマナーのある人、まあ警察にも見えなくはないんだけど。











「名前は覚えた。それでだが、お前らには調査の為色々聞かなきゃならねぇ事が幾つかあるんだが」


フゥー、と新しいタバコを出したのを皮切りに、土方さんは恐らくここに来た本当の目的であろう話を切り出した。


……後ろで一個だけ窓際まで離れたベッドに横になってヘンテコな赤色のアイマスクをしている人がいるが、気のせいだろう。私知らない。










「あたしらが犯人だとでも?」


ハッとバカにしたように笑い言うリオの声に意識を話し合いの方へ戻せば、リオだけではなく、ツバキでさえも話を切り出した彼を睨んでいた。



だが、彼は大きく煙を吸うとゆっくり吐き出しながら呟くように否定の言葉を口にした。


「いや、ヤツは既にしょっぴぃた。今頃ムショにでも行ってんだろ」

「……なら何で」

「一応その場に居たってんでな。形だけでもしとかねーとお上からなに言われるかわかったもんじゃねェ」


そう言った彼は、苦虫を噛み潰した様な顔で頭をガシガシと掻く。

面倒くさいといった感情が丸出しなのだが、正直、こちらも面倒くさい。

つまりは、書類送検の為に私達が協力しなければいけないと言うのだ。



……寧ろため息を付きたいのはこちらだ。









「え、メンドクサッ」


グサリ、と何処かで音がした。


容赦のない声の主に目を向ければ、当事者――リオは、心底面倒だと眉間にシワを寄せていた。





――……なんと素直なことか。









「それには酷く同感だが、やらなきゃならねぇんだ。協力しろ。ついでにお前らがなんで彼処に居たのか。それとお前ら一応未成年だろ。親御さんとかに連絡しねぇとマズイ事になる」



リオの言葉に動じることもなくそう良い放った彼に、私達はふといつの間にか暗くなっていた外に気付き、『そう言うことか』と顔を見合わせた。







「親ならいない」

「は?」

「だから、親ならいない。心配要らない」


珍しく口を開いたツバキに、土方さんが驚いて聞き返してきたが、それも彼女は一蹴するかのように口を開いた。


そしてフイッと顔を背けると私の寝ていたベッドに腰掛け、興味がないと言わんばかりに未だに簀巻きに成っている山…………―――山岸?さんを突っつき始めた。




「あーあ、拗ねた」

そんな彼女を見ながら、リオは口を軽く尖らせた。


取り敢えず彼も引きそうにはないし、ここにいても暇だ。


私は不機嫌そうな土方さんへ向き合うと、了承の意を表した。




「……分かりました。取り敢えず貴方達の指示に従います。疑われてはいないみたいですし」

「あァ、助かる」




そう言った彼は、些か安心したような表情を出し、今日はもう暗いから明日の正午頃にまた来ると言い残すと、後ろに居た沖田の頭を殴り、山岸?さんに帰ると告げると病室を出ていった。




「えっ!ちょっ、俺このままッ!?あ、副長!!待ってくださいよ!」


「うるせぇぞ山崎。病院だ、静かにしろ」

「Σ堂々と煙草吸ってるアンタに言われたくないんですけどッ!!?」


「早くしろィザキ。ノロノロと跳んでんじゃねーやィ」

「そう言うなら見てないでほどいてくださいよ、沖田隊長!」


「面白ェんで嫌でィ」

「もうヤダこの人たちッ!!」










ザワザワと騒がしく帰っていく彼らに私達は無言でいると、遠くの方でナースさんの怒声が響いた。



「騒がしい」

「うん」


ツバキの呟きに頷きながら、私はぼんやりと閉まった白い扉を見つめた。


そして思う。



























…………山岸さんじゃなくて山崎さんだったんだ。





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