詰め合わせ3
□優しい人
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出陣を控える彼らの後ろで、審神者は細かく書かれたチェックリストを確認していた。
チェックボックスの横に書かれてある項目は大から小まで様々だ。
「みんな刀装はちゃんと特上?手入れ漏れのある子はいない?お守り持ってる?」
心配症なのか何度も確認する。
その度にチェックボックスには赤ペンで印がつくが、それは二つ三つと増えていくばかりだ。
「そろそろ出てもいいか?」
帰ってくることも考えてか山姥切がそう声をかけた。
しかしどうも不安は拭えないようで、彼女はでもでもと言い淀む。
「お前は俺たちを信じていないのか?」
その問いかけは唐突だった。
しかし答えは簡単なもので、イエス以外のなにものでもない。
「だったら無傷で帰ってくるのを信じて待ってろ」
男らしい言葉に、ついつい手元に力が入る。
くしゃりと音をたてた紙はすでにいっぱいいっぱいに赤が入っている。
「笑って出迎えてくれ」
そう言って他のメンバーを引き連れて戦場へ向かう山姥切。
自分のことを写だなんだと言う割に、彼は彼女に対してはネガティブにならなかった。
それは彼女という最上の目利きが、誰よりも先に自分を指名したからだろう。
初期刀という誇りは間違いなくあったからだ。
「怪我はするな、あいつが悲しむ」
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