詰め合わせ3

□秘密の話
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顔を寄せ合い、クスクスと笑う。
二人が話すことは大体がイタズラの相談事だ。


「ふふっでね〜?」


本丸の地図に指先をなぞらせ、彼女は楽しそうな声音でそれを語る。
次のターゲットはどうやら新人の大包平のようだ。


「それだったら、ここはタライの方が派手でいいんじゃないか?」


小さく赤ペンでバツ印が書かれたところは、さっき彼女が獅子王の鵺を落とそうと言った場所だ。
上から落とせるものならなんでもいいが、確かに鶴丸の言う通りでもある。
インパクトのためにもそれに変更をし、二人でまたクスクスと笑う。
案外、こうして計画している時の方が楽しいものだ。


「じゃあこの最後の場所はくらっかぁを使おう」


彼のゴール地点であろう、鶯丸の部屋に大きく丸をする。
地味だが王道のタライに、派手なクラッカー。
これは面白くなってきたと、とうとう彼女は吹き出した。


「ホント、鶴丸は面白いね!」


けらけらと笑う彼女に、鶴丸も釣られたように笑う。
子供のような無垢なそれは、しかし押し止めるように一つの気持ちを隠していた。
燃え上がる炎のような恋慕。
そんなものは、人の身を得て初めて知った。
どうすればいいかわからないまま、彼は今日も秘密を抱えたまま二人だけの秘密話に花を咲かせるのだ。


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