創作小説

□妹専用名探偵
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「私のプリンが無いっ!」
 小学校低学年になる妹が、そんな事を叫びながら俺の部屋に勢い良く入ってきた。
 まったく。お兄ちゃんは、いつも部屋に入る時はノックしなさいと教えているはずだぞ?
 俺は読み掛けの推理物漫画を机に置いて、妹に顔を向ける。
「どうしたのー?」
 夕食前の時間には珍しく、大学一年生の姉までもが、俺の部屋にまで顔を出す。
「あのね、私のプリンがね、うっぅ…。」
 言い終わる前に、妹は目尻に涙を溜め込んでいる。今にも大声で泣き出しそうだ。
「ちょっと!お前が食べたんだろー!謝っとけよ!」
 姉はそう言い残して、自分の部屋へと戻っていく。
「ちょ!俺じゃないって!食べたの姉ちゃんじゃないのかよ!」
 姉の後姿に弁明してみるも、反応は無かった。
 つまり…妹のプリンを誰かが食べてしまったのだ。
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