創作小説

□アイズ
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―次に気が付いた時には、茹だる様な熱気と、鼻を刺す嫌な臭いが印象的だった事を覚えている。
同時に、いつの間にか怪我をしていたのか足が思うように動かなかった。
地面に這いつくばりながら、それでも肉親を探そうと必死に立ち上がろうとした。
そこには、信じられない無い光景が広がっている。
炎、瓦礫、倒れている人々…
「…お父さん!?…お母さんはどこ!?」
両親と一緒に、駅前の繁華街に出掛けていたはずだ。
その両親が、今は居ない。
「…探さなきゃ。」
身体中に走る激痛を堪えながら、歩を進める。
なるべく…倒れている人に目を向けない様に。
どのぐらい彷徨っていたのかも分からない。
目の前が段々と霞んできて、再び地面に這いつくばる。
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