飛び降り指揮者

□私と私
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『ん。朝か・・・』



ベットから起き、目覚まし時計に手を伸ばしアラームを止める。




『学校・・・・行きたくないな。』



寝起きでまだ気だるい身体をむりやり動かし、ぼーとする頭の中で、何をするか考える。






とりあえず、煙草を出し、一服から始めよう。


朝食を食べるよりはやく、一服して、そのあと顔を洗う。


『今日は・・・・目玉焼きかなー?』




母と父と三人家族のこの家庭には両親の姿はなく、紀李の存在しか見当たらない。



母は精神的にうつ病。

父は殺人犯で逮捕。


崩壊しているこの家族に近づく近所の方もいない。

ましてや、父のおかげで紀李は友達さえもいなくなってしまった。



皆逃げていく、犯罪者の娘だから。



14歳という中学生部類の年齢だったなら、精神的に折れてたかもしれないが、紀李は違った。


生まれたときからこの環境でいきているから、あまり気にしなかった。



といっても、6歳あたりからの記憶がない。

あるのは、自分の名前と・・・・血を吸う化け物ということ。


どこか、普通の人間とはずれていることを分かっていた。




これが私の現実だ。
いつもと変らず14年間すごしてきた。





道端で犯されて、孕まされて、それでやっと不安に思ったけど、手を伸ばせる人がいなくて・・・・・死にたくなって・・・・・








「”紀李”」
愛しい声が響く。



これが現実だったから、幸せになりたいとは思えなかった。



一人で死んでいくと決めてた。





なのに・・・・・!!
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