飛び降り指揮者

□実験室と探し物
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移動するときに借りた、乗り物(飛竜)に乗って家から遠目の所に着いたので降りた。








濃い・・・・血の匂い。



妖怪の・・・・・血臭・・・?





どうやら嫌な予感は当たったようだ。

吸血鬼は血の匂いに敏感だ。
妖怪の血の匂いが濃すぎて気持ち悪い。

結構草など、木などで、囲まれる家だから、はっきりと家を視野に入れるのは難しい場所にある。


紀李は無事なのか。

そのことばかり思っていて家まで急いだ。







「ぎゃぁあああああぁぁあ」


家に近づけば近づくほど、さっきから、妖怪の断末魔の声ばかり聞こえる。

それと同時に濃くなってく血臭。


一体何が起きてるのか、確実ではないがやはり、家に近づくほどはっきり聞こえ、濃い血の匂い。




「紀李!!」





さっきから波立つ心臓が、うるさい。




「紀李!!!!」



たぶん、紀李にはこんな声で呼んだことないような声が自分から出てくる。



「紀李・・・・・・!?」




家に近づき、俺が見たものは、あまりにも酷かった。




「紀李・・・・。」






紀李を呼ぶ声がだんだん小さくなっていく。





なぜ・・・紀李が。




「助けてくれぇええええ!!!」




目の前で苦しみ床に倒れながら、俺に手を伸ばす血まみれの妖怪。




『まだだよ?』




聞こえた紀李の声は、あまりにも綺麗で残酷で透き通ってて、俺自身が飲み込まれるような感じがした。





紀李は一体誰?



今まで見てきた紀李は何だった?


疑問ばかりで答えなんかでない。






俺に気付いてないのか、紀李はただただ、目の前の妖怪を、俺に助けを求めた妖怪の上に乗り、首筋に歯を立て、血を啜り始めた。



紀李の綺麗な黒髪が、赤く染まる。


それすらも気にせず、俺の目の前で血を吸い続けてる。




「っ・・・・!」








紀李は、人間・・・。






紀李は人間の吸血鬼・・・・?
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