飛び降り指揮者
□仕事とカプセル
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『翠?』
普通におはようとか言おうとしたけど辞めた。
だって、
「あ、紀李。おはようございます。行って来ます。」
『いや待て待て待て待てッ!』
リビングに付いたら、登山でもするのかという格好をした翠がおりました。
フードを被り、リュックを背負い、昨日怒ったのにまた、私の煙草を吸っている翠が玄関の前で立ち止まっていた。
一服してから行こうとか思ったんだろう。
『どこいくのさ。』
「仕事です。3日ほど帰ってきませんけど、家はどうぞおつくろぎください。」
にっこりと、いつも通りだぜとかでも言いそうな口調で言われても困る。
だって私、まだ二日目なんだよ!今日で二日目!いきなり家の主人消えるとか何なのさっ!
こんな山奥の家に一人とか、というか、なんだかんだで、ここの家の場所覚えてないし!
森だよ!360度森とか絶対何度か迷子になるって!
翠いなきゃ、町に出ても家に戻れないこととか絶対あるって!!
どこから文句言おうかと頭の中で考えてたけど、いっぱい言う事があって、
とりあえず、
『朝ごはんは?』
だった。