飛び降り指揮者
□仕事とカプセル
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『・・・・・・』
ふと目を開けると、日差しが直接目にきた。
まぶしいと思い、仰向けから、横を向き、布団を上までかけ直す。
なんて目覚めの悪い。
いつからだ、私が人の血の匂いを鋭く感知してしまったのは。
いつからだ、私が欲望を抑える為に、自分の腕に噛み付いて、自分の血を吸うようになったのは。
普通に鏡見ても歯は別に尖ってない。
だが、急に吸いたくなって、歯がなぜか鋭くなる。
挙句の果てに、なんだあの夢は。
現実味が有りすぎて、頭痛がしてくる。
また眠ろうとも思ったけども、同じような夢を見てしまうのかと思うとだんだん目が冴えてくる。
それに、あの夢をみただからだろうか、物凄く
『血が飲みたい・・・・。』
ポツリと呟いてみると、じわじわと気持ちが大きくなる。
ふと思い出すのは、昨日の妖怪たち。
とても甘くて、自分自身を止めることは出来なくてただただ、全て吸い付くまで求めた。
吸い終わって、正常に意識を取り戻した後の自分自身に少しだけ恐怖を抱いた。
どうしようもなく、疼いてくる身体を押さえつける。
『あ・・・・』
そしてハッと気付いた。
”「お前の大好きなアレの塊だよ。人工的に作られてるやつでな、日常での急な衝動を抑えることが出来る。
つまり、お前の腕の代用になるもの。」”
その言葉を思い出して、貰ったビンを開け、薬みたいな、カプセルに入ったものを手に何粒か落として、そのままお菓子見たいに噛む
これって、水と一緒に飲む奴とかじゃないよね?
なんでもいいけど、何よりも早く衝動を押さえつけたかった。
噛んだ、カプセルの味は確かに血の味がして、すぅーっと喉にはいっていく。
たしかに、普段、吸いたくなったらこれで回避できるかもしれない。
『薄いねぇ・・・・。』
人工的な血で作られたからかもしれないが、味が薄い。
やはり本物の血には所詮子供だましって奴かな。
でもなんとか欲求を押さえ込めた紀李は、翠がいるであろうリビングへと足を進めた。