襟足のアメピン
□本当の出会い
2ページ/6ページ
多少着崩した方が違和感無く紛れ込めるだろう。
シャツの第一ボタンを開けてネクタイを少し緩める。
スラックスも、元からサイズは少し大きめなのでダボッとしてる感じが男子高校生らしく見えると思う。
あまり着崩しすぎると、かっこいい制服がかなりダサくなるのでこれ以上ダサくならないようあまり着崩さずに鞄を抱えて部屋を出る。
女だとバレないか多少の不安はあるが、
ただでさえ貧乳なうえにさらしをまき、シャツから透けないようにと黒のタンクトップとその上にTシャツを着ている。
その上、顔は見たことがある男のものとそっくりなのだからバレることは比較的少ないと思う。
というかそう願いたい。
3人にバレたって言ったらえらいこと潤さんキレてたもんな・・・
あの人めんどくさいからなぁ・・・
ぼんやり歩いていると、早速校舎が見えてきた。
近いってホントいいな。
俺は踵をすって歩く癖があるらしく、ローファーの底が削れる音が聞こえる。
「おい」
・・・何か、聞こえた。
「おい、お前。・・・もしかしてカナ・・・今は違うな。壱維、か?」
知り合いかよ。
めんどくっせぇ・・・
とりあえず声を発さずに、後ろを振り返る。
「久しぶりだな」
微笑みをたたえて、そこに立っているのは
巨人。
いや、デケェよ。
何コイツ。
【人物リスト】No.3
春日浦 真 (カスガウラ マコト)
『蒼』の特攻隊長。
普段は温厚な性格で、チームのお母さん的存在。
頭が良い。
喧嘩もチーム内で3をはるくらい強い。
身長187cmで、顔も整っているので要注意。
一緒に居るとめっちゃ目立つタイプじゃねぇか!!!!!!
・・・なんで一番最初にんな奴に見つかるんだよ。
カナの顔面のアホ。
「よく来たな。やっぱお前は『コッチ側』だよな」
「・・・お久し振りです」
「ハハッ、行こうか。もう少しで菖蒲も理央も来る」
【人物リスト】1
東 菖蒲 (ヒガシ アヤメ)
『蒼』1で、総長。
寡黙で何を考えているのかわからない。
要注意人物。
滅多に喧嘩しているところはみられないが、仲間の後ろで控えている奴では無い。
頭は悪い。
顔が整っているという条件も加わるが、人を惹きつける魅力がある人物。
2
相模 理央(サガミ リオウ)
『蒼』の副総長であり、2。
チャラい。
しかし油断ならない面もあるので、気を抜かないで接するべき。
自分が認めた仲間に対しては非常に人情に厚い。
例に漏れず、顔が整っているため一緒に居ると被害にあう。
この二人とは、カナがまだ信用されきっていなかったため面識が無いらしい。
出来れば俺も会いたくは無い。
「悪いな。お前を転校させちまって」
「・・・?なんで真さんがそんなこと気にするんスか」
「いや、お前を信じきれないって言われて不快に思う奴は多いだろうから」
「ああ・・・別に良いんですよ。俺は気にしてません」
「そ、そうか。じゃあせめて俺のことは呼び捨てしてくれ。敬語も必要無い」
・・・なんで最近の人は、みんな呼び捨てにさせようとしたり敬語を外させたりしようとするのだろうか。
結局潤さんも、呼び捨てにしようと思ってたのに距離を置きたいという思いからか自然と「さん」が付いてしまっていた。
「わかりました」
「敬語外せ」
「う、わ、わかった・・・」
「よし」
なんかこの人良い人だな・・・
騙しているのが大変申し訳無い。
「あ、真さ、・・・真」
「おう、なんだ?」
真さん、と言いそうになったのに気付いたのかクッと喉の奥で笑われる。
「名前、騙しててすみませんでした」
「ハハッ、誰も気にしてないさ。俺らだって信用しきれてなかったんだからお互い様だろ?
しかも、お前はちゃんとこっちまで来て話してくれたしな」
頭をポンポンと撫でられる。
身長差があるのが悔しい。
俺が3ヶ月の特訓に耐えている間に、一度カナがここに来て、
名前のことについて謝罪し、もう少しで天候できると報告してくれていたのだ。
やはり騙されてたと思う人も多かったらしいので、余計なゴタゴタはあったが、カナがこっちに来ていた間に収束させておいていたようだ。
カナ様流石です。
そして真はいい人すぎるからもっと警戒心持ったほうがいいと思うぞ。
鷹廼潤に騙されるな。