襟足のアメピン

□和
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とりあえず校内見て回ろう。



あ、愉快な三人組にメールと電話・・・




メールはとりあえず一斉送信

題名・・・『俺』 本文・・・『壱維』

おわり。



とりあえず意味が伝わればいい。



そして、電話帳の画面を呼び出して3人の誰かの名前を探す。

あいうえお順表示なので、当然一番最初に目に入るのは市川樹。




少しの間を空けて、プルルルルルと機械音が聞こえ始める。


会話をするのはめんどくさいし、あっちも新幹線の中かもしれないから、とりあえずワン切り。




次は、小峰輔。

こっちもワン切り。




最後に、橋詰孝。

ワン切り、しようと思ったが何故か受話器が上がる音が聞こえる。




え、こっちで一回コールしてるときって、相手側でも鳴ってるの?

そうでも反射神経すごくね?




『ちょっとちょっとーなんで俺が最後なのよー!!!!』

「え、あいうえお順」

『ひっど!!!あとワン切りってさーもっと親睦を深めようよー』

「はいはい」

『つめたい・・・樹とコタもそう言ってるよー!!??』

「うんうん」

『話聞いてる?』

「うんうん」

『・・・・・・じゃあ明日一緒に遊びに行こうか』

「うんう・・・あ?」








誘導尋問かよ。



『いいの!!?やった、けってーい!!!!』

「ちょ、オイ、今のは違う・・・おい待てこらクリーム!!!!」




一方的に切られて、虚しく機械音が響く。


最後に『詳しいことはメールするねー』とのんきな声も聞こえていた。







まぁ、こっち来てから初めての友人?だかんな。

どうせ今日荷物整理とか終わらせてしまえば、明日は何も無いし。









とりあえず、ポケットにガラケーを押し込んで、代わりに生徒手帳を取り出す。


確かこれに学校の案内図が書いてあったはずだ。







校舎と寮は距離的には500メートルくらいだから、結構近い。

で、理事長に案内されて来たのは校舎の方。




できれば寮の方も連れていって欲しかった。










ま、いいか。







あ。


俺は気付いた。

今、制服じゃねぇじゃん。

大丈夫かな。





転入生だからわからなかったです、でいこう。
寮行って、着替えてーとかめんどいし。






校門を理事長と同じように通り抜け、生徒用玄関と思われるところで、

テキトーな空いている下駄箱に外靴を突っ込み、来賓用のスリッパを履く。





ぺたぺたと廊下で響く音。
静かな校舎。

部活動もやっているのか、外のグラウンドからは大きな声が聞こえたり、
各教室から楽器の音が聞こえたりする。







ああ、潤さんが不良校って言ってた割には普通っぽいじゃんか。




階段に差し掛かったとき、いよいよスリッパがめんどうになって脱ぎ捨てる。

流石にそのままにしていく訳にはいかないので、生徒手帳をポケットに戻し、スリッパを掴む。




靴下越しに足の裏に冷たい感覚。









階段を上っていく。


確か、覚えやすいように俺の教室は波多野に居たときと同じ1のDだと聞いた。




潤さんの手の回し方は、流石としか言いようが無い。







ぺたぺた。ぺたぺた。



一通り校舎をぐるりと見回して、玄関から出る。



今日はめんどくさいし、荷物整理があるため時間もあまりかけたくない。

よって、自分の教室と職員室だけ確認して戻ってきた。








子供のようだが、地図がものすごく苦手だったから、案内図をみて行動するのも不安だった。

しかし、結構きちんと教室に辿りつけたので良かった。
















学校が始まる月曜。
明後日、どうなるかは、わからない。
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