君と僕。

□掃除
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穂稀高校には、生徒が掃除をする。

という週間がない。


よって、年に一度の大掃除をすることになってしまった。






「名前〜、さぼっちゃダメだよ?」

「っな、友達!」


使われていない倉庫の中。

物陰に隠れてアニメ雑誌を読んでいた。



別にオタクな訳ではない。

純粋にアニメが好きだっていうことだといつだったか、イケメンに言われたような気がする。


この雑誌もそのイケメンにもらった物だ。

題名は、『アニメージャ』



・・・まんまだな。





「ちょっと!名前!!サボっちゃダメだっていつも言ってるでしょ?ホラ、立って!」

「友達〜、今更そんなこと言わないでよ・・・っていうか、今の友達もサボってるんじゃ・・・」

「私はいいの!名前を探しに来たんだから!!」


友達は、気合いを入れて私に向かってくる。



こんなことをするのは多分友達くらいだと思う。

なんとなく、私は畏れられてるからね。




イヤ、中2病とかじゃなくて。

うぬぼれでもなくて。




「ほら、先生に頼まれちゃったんだから!」



・・・これはもう行くしかないな。


流石に私でも先生が入ってきたらおとなしく従うしかない。


それでも、どうしてもイヤなことは拒絶するけど。








教室ーーー



「誰か、ゴミ捨ていってくれる人いない?」

「「「「「・・・・・・。」」」」」




何故かウチのクラスではゴミ捨ては不人気だ。




なんでも、焼却炉は遠いし臭いので行きたくないらしい。


・・・乙女か





「いいよ、私が行く。」

「あ、そう?ありがとう。・・・ひっ!」

「・・・・・・。」


私が、先ほどクラスに声をかけていた彼女に近寄り、ゴミ箱を受け取る。




・・・畏れられてるって言っても一目置かれてるってことだと思う。・・・多分。














焼却炉に向かって歩く。


・・・確かに遠い。







何しろ、階段を何回も下らなければ行けないし、敷地内の端と端にあるもんだから、外に出てからもしばらく歩かなければならない。





「あーあ・・・」


損な役割を引き受けてしまった。

まぁ、それを口実にゆっくり行ってさぼれるからいいけど。






「あれ?1組の人?」

「ん?」


下駄箱にたどり着いた当たりに同じようにゴミ箱を持って立っている人がいた。



・・・見覚えがある。








「あっ!アニメージャの人!!」


アニメージャのイケメン君だ・・・







多分。






「アニメージャ?・・・はは。それ多分祐希だ。」

「・・・祐希・・・?」



ち、違うのか。


おなじ高校で、同じ学年にドッペルゲンガーがいらっしゃるとは・・・



「弟。双子のね。」

「あ、そうなんですか。」


危ない、危ない・・・


危うく変なことを言うところだったよ。



「オレは、浅羽 悠太。君は?」

「あ、私?私は、名字名前です」

「そっか。よろしく。」




・・・イケメンは笑顔も素敵ですね。





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