君と僕。

□接近
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私には、幼なじみが大量に居る。
それはもうアレな。




そもそも、「幼なじみ」の定義がわからない。

一度不思議に思って辞書を引いてみたりもしたが、「幼少から一緒に居る人物」と。

幼少ってどのぐらいだよ。



幼稚園から一緒に過ごしてきたヤツなんてたくさん居るわけだし。


本なんかを読んでみると、小学生ぐらいの頃にしばらく離れていたとしてもそれは「幼なじみ」。






どういうことよ?









「お前、ずっとべらべら喋りすぎ。うざい」

「っうっぜえのはテメェだろこんのメガネ!」

「はああああ?テメェだってメガネだろ!っこの!クソ女!!!」

「はああああああいぃぃぃぃいいい?ふざけんなコラァ!!!!」





このやりとりは、ほぼ会う度に行われている。



いわゆる・・・犬猿の仲ってやつだ。







幼なじみだし、顔は整っているほうだし。
そりゃあまぁ、好きだったことも無いかと訊かれれば無くはない。



でも、そんなの純情だった昔の話だ。


今となっては、性格が悪いコイツをどうねじ伏せるか考える位にはコイツのことを好きではない。





別に、私たちだって小学校までは普通に普通に幼なじみをしていたのだ。


悠太、祐希、春。


そして私と要。





仲良く過ごしてきた日々は最早過去の産物。

・・・・・・それでも、良い思い出ぐらいにはなっているが。






要が、あのとき、余計なことをしなければきっと私達は、まだ5人で仲良くできていただろうか。






あのときは、1学年上の先輩と親しくなっていた頃だった。

それを、要はからかった。




でも、幼い私にとってありもしないことを題材にからかわれるのは非常に恥ずかしかった。




なにより、先輩にも申し訳ないと思った。


でも、先輩は気付いていなくて。

なんやらかんやらあって、結局私が悪者扱いされてしまったり。






もう、要とは相容れないのだ、と。

そう聡ったのだ。
















今では、会う度に暴言の嵐。


春か悠太が大抵は要の傍に居るので止めてくれる。



そして、私は逃げるように去る。







去り際は、なんとも格好悪いものだが、可愛い春とイケメンだと騒がれている悠太の傍にはなるべく近寄りたくない。


昔を思いだすから。















「要のばか」



















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