王子さん家
□two
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「ねぇ、あれ中学生?だれだろーイケメンー」
誰かがそう呟いたときに、教室は一気に騒がしくなった。
男子は物珍しそうに窓にへばりついていたし、女子は黄色い声をあげて窓にかけよる。
「お、明くん来たなーはい、曽良ちゃん行くよ」
みんなが窓に寄っていっているため、窓のそば以外に居たのは私と王子の二人と、あとは興味無い人がちらほらだけだった。
「は?もしかしてあれ五男王子?」
「明くんね、名前覚えろって」
「いやなんで私も?あんたに用あるんでしょ?」
「はぁ?お前に用あんの!いいから来い!!」
強引に手を引っ張られ、玄関までひきずられた。
三男王子が靴を履きかえて玄関の扉を開けると、四男王子だと思われる人がこちらに気づき、肩のあたりで軽く手を振った。
その瞬間、上の教室棟の方から「かわいーー!!!」とかそんな声が聞こえた気がしたが多分気のせい。
靴を履き替えずに、四男王子の姿を見守っていると
「何してんの?行くぞ」
そう言って私の靴箱からローファーを取り出してまた引っ張って行った。
まてまてまてまて。
さっきの声が気のせいじゃないと仮定しよう。
そうなれば、玄関の方まで聞こえる馬鹿デカい声。それは結構な大人数で叫んだためじゃなかろうか。
つまり、五男王子の姿を見られているわけであり。
私たちが近づいていったら…その姿も見える。
あかん!!!!!!!!!!!!!!
どう考えても目立つ!!!!!!!!!!!!!!!!!
「王子、ね、王子?私行かないお願い止まれ!!!」
全体重をかけてその場にとどまろうと試みるが王子のパワーは圧倒的だった。
「うわお前重い!!!俺様の腕が傷つくだろ!!!!」
「じゃあ止まれよこのナルシスト!!!!」
「俺はナルシストじゃねぇ!」
そうこうしているうちに五男王子のそばへ。
後ろで何か言っている声が大音量で響いているが私には何も見えない知らない聞こえない。