襟足のアメピン

□特訓
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翌日。




「ちょっと、壱葉!いつまで寝てるの!?お迎えが来てるわよ!!」


母の声が聞こえる。

でも私はどうやったって布団から抜け出すことはできな・・・・・・あれ?








「・・・・・・迎え?」


思わず目を開けて、布団から飛び起きる。




「ちょっと母!!!迎えってどういうこと??」

「知らないわよ。あのどっちかが彼氏?顔は見えないけど・・・とにかく早く準備しなさい!」







そう怒られて、部屋にまた戻る。




制服に着替えながら不思議に思う。

「どっちか」ってことは・・・2人居るってこと?

・・・・・・じゃあ、




カーテンを急いで開ける。
すると、家の玄関から道路にかけての通路に二人の人影が見える。


潤、さんとカナ・・・



一気に脱力感を覚える。

なんで?なんで家まで来るの???



あの人達の思考回路は、やはりどうかしている。

朝食も食べずに、急いで外へ出る。



「何やってんですか!」





私がそう言うと、二人はいっせいに振り返ってくる。


「おー、はよ。」
「やっほー壱葉ちゃん」


・・・マイペースか。






「オハヨウゴザイマス」







三人揃って登校する。
高校入学時の私にそんなことは予想もつかなかっただろう。






「で、本当になんで来たんですか?」

「敬語外してね」


「えっ、む、無理です」
「外せ」



にっこりと微笑みながらも、強要してくる潤さんに戸惑う。

カナは「そんなんに敬語使わなくてもいいんだ」と笑っている。





「そんなん」とか言って。
話を聞く限りでは、「総長さん」って人を尊敬してるんだなって思ったときがあった。


から、カナの潤さんに対しての気持ちはもうとっくの昔に知っていた。





「カナは素直じゃないなぁ」


脈絡無しに呟いた私の言葉に、両サイドに居た二人は首をかしげる。



「何?何の話??」

「おい、ちょっと待てよ?何考えてるかわかんねーけどコイツにはしゃべんな!」
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