黒子のバスケ(夢)

□なんかじゃない
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淋しそうな背中を見送った翌日。



何故か森山は、いつも通り家まで迎えにきていた。


「昨日の今日で・・・」




窓から見える森山の姿を睨む。

すると、丁度森山もこちらを見た。




・・・・・・いつもならうざいくらいに手を振ってくるのだが、今日は違った。



顔を背けて下を向く。




「っなんで・・・・・・」




迎えに来るからいつも通りに接してくるかと思えば、顔を背けるし。






よくわからん。



取り敢えず一旦考えるのを放棄し、家を出た。












「森山」

「あ、おはよ」

「・・・・・・おはよう」




短い挨拶を終えると、その後会話は全く無かった。



























「っどーしたんスか!アンタら!!!」


昼休みトイレから出てくると、黄瀬にそう言われた。



「黄瀬・・・ここ女子トイレの前だから」

「はいはい、じゃあ移動するっス」


どうでもいいけど、アンタの隣は目立つから嫌なんだが。



「で?」

「『で?』って何・・・」

「何?じゃないっスよ!!!アンタと森山センパイ!何があったんスか」




珍しく真剣な表情の黄瀬。



「何も無い。けどなんで黄瀬がそんなこと気にかけるのさ」

「はぁぁぁあぁ?何も無かったワケが無いんスよ!てかその言い草はねーだろ!」



どうしたよ黄瀬。
お前そんなキャラだったのね。



「今までずっと見守ってきたら『付き合ってない』とか言い始めたし、その後なんかあったっぽいのに『何にも無い』とか・・・」


なんか言ってるけどよくわからん。


「このまま自然と森山センパイと離れちゃってもいいんスか?」









「なんで・・・黄瀬はそう、森山と私をセットで考えようとする訳?」




「鈍感すぎるのも考えものっスよ」





おい、質問に答えてねぇぞコラ。





「セットとかそういう問題じゃねぇっス。アンタは、自分の気持ちに気付いてない。それだけのことっス」





は?







「じゃあ教室まで送るんで、後はおとなしく森山センパイの横に収納されといて下さいっス」














黄瀬と並んで廊下を歩くが、今、私の脳ではさっきの言葉を理解しようと必死に細胞が稼働していた。




『自分の気持ちに気付いてない』?






私は、自分のことならわかる。
そりゃあ自分のことだから。



なのに、なんで?

自分の気持ちに・・・気付いてない?




別に私はそんな鈍感な方でもない。

なにか、周囲に変化があったらそりゃあ気付くさ。



・・・・・・あー?



さっき言い放たれた、黄瀬の言葉はいつまでも脳内を支配し続けた。


























「おい、」

「え?ああ・・・笠松くん」


まだ先ほどのことを考えていたのだが、自分を呼ぶ声が聞えたと思って見上げてみれば笠松くん。




「お前さ、森山と何かあったのか?」

「・・・・・・またそれっすか」


「またってなんだよ。俺がお前に聞くのは初めてですが」

「違う違う。さっき黄瀬に同じこと言われたの」

「あっそ。んで、実際のところ何かあったんですか?」




なんか怖い。


「何にもない。・・・まぁ同じこと言ったら黄瀬がキレてよくわかんないこと言われたけど」
「いや、それはいいたくもなるだろ。何を言われたんだ?」



間髪入れず、笠松くんは言い返してくる。


「何を言われたって・・・『自分の気持ちに気付いてない』とか」

「ああ・・・」



「え?意味わかんなくない?自分の気持ちなんだから当然のごとくわかるに決まってるじゃん!何、気付いてないって!!!!」


意味ありげに頷いた笠松くんに向かって怒濤の勢いで訊く。



「いや、自分で気付かないと意味ねーじゃん」











ちょっとちょっとー


どういうことよ。





もうわけわからんくなってきたよ。
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