黒子のバスケ(夢)

□先輩
1ページ/1ページ




陽泉高校バスケ部のマネージャーである私は、今日もスポドリの準備とかでかけずりまわっていた。


「おっもいんだよぉ!!!」



水飲み場に到着すると、そんな罵声を上げながら籠いっぱいに入っているペットボトルを睨みつける。

空だと重くはないが、中身が入ると全然違う。
何コレ、私が筋トレしてどうすんの?



「何キレてんだよ」


ぽんっと私の頭に手が置かれた。


「えっ福井先輩!??」

「おー」


そこには、片手を私の頭の上にのせて微笑んでいる福井先輩の顔。


「なんで?練習中じゃ・・・」

「よたよたしてっから心配で見に来てやったんだ感謝しろよ」

「え…あ、ありがとう……ございます?」

「なんで疑問系なんだよ。もっと感謝しやがれ」

「あ、ありがとうございます…」


頭を下げると、再び福井先輩は微笑んだ。
ああ、先輩っていいなぁ…



紫原くんとかリュウ先輩とかみたいあにでっかくないし、主将みたいにゴリラでもないし。
氷室先輩は……なんか怖いから苦手。

中身は皆良い人たちなんだけどね。



「福井先輩は…優しいですよねーこんな私のことも気遣ってくれてるし。」

「そうかー?氷室とかもこんなもんだろ?」

「いや…氷室先輩は……なんか笑顔が怖いといいますか…」


一瞬福井先輩は顔を曇らせた。
…どうしたんだろ


「はは。そんな風に言われたのは始めてだなぁ。でも、ちょっと悲しいね」


後ろから声が聞こえた。
というか…この……美麗な感じの声は…


ゆっくり振り向くと、今、一番この場に居てはいけないだろう人物がそこにたっていた。

「氷室…先輩……」

「ああ、別にいいんだよ?気にしないで。俺にも裏の顔があるのは事実だし。
それと、福井先輩?いつ練習に戻って来れます?」

「んぉあ、ああ…えっとーコレだけ運ぶの手伝ったら戻るわ。」

「分かりました。」


そういって、一度笑顔をこちらに向けて去っていく氷室先輩。





「え、そんな!いいですよ、いつも私一人でやってますし…」


「俺、そんなにお前に嫌われてる系?結構ショックだわー」


私よりもちょっと高いところからしょんぼりした目線をよこす福井先輩。


「え、い、いやっ!そ、そんなつもりじゃなくて…!」


焦って福井先輩の言ったことを否定する。

「だったら黙って手伝わせろ。」



先ほどと同じように頭の上に手をのせられる。




「……う、お、お願いします…。」

「へーい」






ちゃっかり重い方の籠を持ってくれているあたり、福井先輩は優しいと思う。

ま、ここで重い方持たなかったら最低だよな…






……。



会話が無い…

気まずいよコレー



「ああ、そういえばさ、さっきお前、俺のこと優しいっつったろ?」

「え、あ…はい。」


急に話しかけられたから何かと思った…。




「俺さ、そんなヤツじゃねーから。」

「え?」




「普通に…下心満載なんで。もっと……警戒心?持って欲しいっつーか…」

「え、それってどういうこと…ですか?」



けいかいしん…警戒心?




「だからっ!もっと俺のこと、男として意識しろっつってんの!!!」


ぐいっと顔を近づけられ、唇にふわふわのものが当たる。


「…ぇ?」




思わず籠を落とす。


「んじゃーそういうこったから。」




福井先輩は、落ちた籠まで拾って先に行ってしまった。









…残された私は、




これ以上とない、心臓の高鳴りを抑えようと必死でした……。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ