One Way
□3.dyed
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3人は互いに目配せをしてその男たちと目を合わせないようにし、無言で通りすぎた。
が、
「ちょっと君たちぃ」
と声をかけられてしまった。
「何スか?」と恋次が振り向いて言った瞬間──
ドッ!!
「阿散井くんっ!!」
「だ、大丈夫かい!?」
桃とイヅルは2人で恋次を支える。
男の1人が恋次の腹に蹴りをいれたのだ。
あまりにも不意打ちすぎたので、流石の恋次でもよろめいた…。
「君たちさぁ、金持ってんだろー?」
桃とイヅルが恋次に声をかけている間に、3人は男たちに取り囲まれてしまった。
1人が話すのに合わせるかのように、周りの男たちは微かに笑っている。
「お…お金が目的ならそう言えばいいじゃないですか!どうして阿散井くんを蹴る必要があったんですか!?」
桃が叫んだ。
自分でも何を言ったのかよくわからなかったが、言った後に
『しまった』
と思った。
その言葉を聞いた途端に、男たちの顔から笑いが消えたのだ。
「いいよ雛森!俺は大丈夫だから…!!」
と言う恋次の言葉を遮って、
男の一人は
「なんだ、よく見れば女の子じゃん?」
と、桃に近付いて来た。
「しかも見ろよ、すっげぇ可愛いんだけど!」
ある者はニタニタ、ある者はゲラゲラとまた笑い出した。
桃の体が、自然と震え出す。
するとイヅルが、桃と、近付いて来た男との間にすっと立って言った。
「阿散井くん、これぐらいなら僕らで倒せるよね?」
「……たりめーだ。」
恋次もイヅルと並ぶ。
2人が身構えた途端──
「キャアア!!」
桃が悲鳴をあげた。
桃は後ろから別の男に両腕を掴まれ、動けなくなっていた。
「───やろっ…!!」
恋次が『しまった』とばかりに言う。2人はどうすることも出来ない。
桃の眼には涙が浮かんでいた──
すると
「ギャアアア!!!!」
という叫び声と共に、桃を掴んでいた男が桃から手を離し後ろに倒れた。
その場の全員が突然のことにびっくりしていると、桃の背後の暗闇から
「…あかんなァ。こんな遅い時間に出歩くなんて。」
という声。
そして、茂みの奥から2人の男が現れた。