One Way

□2.再会
2ページ/3ページ


「あっ、阿散井くんおはよう!」

桃が満面の笑みとともに手をヒラヒラ振りながら言うとその男も

「なんだ、知らねえ奴ばっかりかと思ったら雛森じゃねぇか。オマエも1組だったんだな〜」

と、陽気に返した。




大股で自分の座席へと向かう一際目立ったその男の後ろ姿を見つめながら、花太郎が

「雛森さん…あんな怖そうな人と仲良くできてすごいですね…」

とさらに眼を見開いて言ったので、桃は

「あの人は阿散井恋次くん!中学一緒だったの。すっごく優しくていい人なんだよ!花太郎くんもすぐ仲良くなれるって!」

と、にこりとした。


意外に桃と花太郎は気が合い、担任の教師が来るまでずっと話し続けた。


そう、


担任の教師がそこに現れるまでは───




















『──早く帰りてぇ…』


冬獅郎は頬杖をつき、眼をつぶって1人じっとしていた。


『なんでどいつもこいつも俺のことばっか見てんだよ…』

と、眉間の皺を深くさせながら。



冬獅郎の外見からして無理もないことなのだが、誰もかれもが

『どうしてこんなちっこいのがいるんだ?』

と言わんばかりに彼を見つめている。


出席番号ごときに浮かれていた冬獅郎はすでにそこにはおらず、そのまま黙って誰とも喋らず彼はその場をやり過ごした。











カラカラ…


その時隣の1組ではドアが静かに開き、眼鏡をかけた1人の教師がにっこりと微笑みながら教室に入ってきていた。

 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ