One Way
□3.dyed
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───タッタッタッ……
「──ったく…なんで俺達なんだよ…2年に行かせりゃいいものを…」
「しょうがないよ、みんなもう疲れて寝ちゃってるし…。起こすのも可哀想だしね」
「というか…まずなんでこんな時間にパシられなきゃいけないんだろう…」
桃たちは、郊外のスポーツセンターで行われている剣道部の合宿に参加していた。
今彼女らは3人揃って山道を走っているわけだが、これは単なるジョギングではない。疲れて爆睡している後輩たちの代わりに、先生からお使いを頼まれたのだ。
「あー…だりぃ」
時刻は午前0時を回っている。道路を照らすはずの電灯は、着いたり消えたり、あまり意味をなしていなかった。
「吉良!先生に買ってこいって言われた物メモした紙、見せてくれるか?」
「あ…うん。これだよ」
イヅルに渡された紙を、小走りのまま恋次と桃は覗きこむ。
「なになに…つまみと……」
「ビール。」
「…って買えるわけねーだろ!!店員に止められるぞ…!」
「いや、阿散井くんなら大丈夫だと思ったんじゃないかな?」
「……。…つーか自分で行きやがれってんだ!!どうせ今から飲み会する気だぜ…。もうほっといて帰らねえか?」
恋次は教師への不満を一気にまくし立てる。
「でもせっかくここまで来たし…。ほら!地図見る限りだとコンビニまであと少しだよ!」
桃は教師から渡された地図をバサッと勢いよく広げると、等高線と等高線の間に記されている赤い印を指さした。
どうやらそれがコンビニを表しているらしい。
「そ…、そうだよ!もう少しだし!行こう!」
「…しょうがねーな……じゃあ行くか…。」
そう言って、3人はまた走り出す。
すると…
そこからしばらく進んだところで、前方に数人のガラの悪そうな男たちが現れた。