presents

□彩り
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ありがとう、

生まれてきてくれて。



ありがとう、

俺の前に現れてくれて。



ありがとう、

俺のセカイに光を与えてくれて。










































「シーローちゃん!」

鼻をくすぐる甘い香りと自分の名を呼ぶ桃の声に俺は瞼を開いた。
桃は俺が目を覚ましたことに気付くと「今日は何の日でしょう?」なんていう答えのわかりきった質問をにこにこしながら言ってきて。


「…」
「…」


「…」
「…」


「…」
「…もう!何か言ってよ!」


…おいおい…
自分で言えってか?

眠たい目をこすりながらぼんやりそう思って、その上あくびまでしたら今度は頬を膨らませてぷりぷり怒り出す桃。

…お前いくつだよ…

「そんな子には誕生日プレゼントあげないんだからね!」とか言いながらいやにきれいに包装されている小さな箱を振り回して。




なんでもない日常だ。

特に突出した出来事もなく、毎日は過ぎ去っていく。


でも。
ただ生きることに必死だったあの頃とは、明らかに違うものがある。


生きている意味とか俺の存在価値だとか、そんなモノは見出だせないと思っていたし、欲しいだなんて望んだこともなかった。




でも、今は…












「…シロちゃん?」


まっすぐ自分を見つめ続ける俺の視線に、桃は暴れるのを止めたらしい。


室内でも冷え冷えとするこの季節、だけど俺はなぜかそれを苦には思わないから。








やっと。

やっと、生きる意味を見つけたんだ。

護るべき人ができたんだ。





















『きみ、ひとり?』


俺の前にゆっくりしゃがんで視線を合わせて、桃はそう聞いてきた。


俺より少し大きいだけの、ちっぽけな手。








『いっしょにいこう』












その手が差し出されたときから、俺のモノクロのセカイは輝き出した。



その中心には必ず桃がいて、赤や青、黄色だったり緑だったり、いろんな色を加えてくれるんだ。



そしていつしかその色は混ざって溶け合い、新しい色を作り出す。


オレンジ、紫、深緑。




明と暗、黒と白だけだった俺のセカイ。


それさえも引っくるめて、また新しい色を作り出す。


ピンク、黄緑、スカイブルー。







柄じゃねえから、やっぱりどう考えたって言わねえし、言えねえけど。



俺は、桃が生まれてきてくれて嬉しい。



俺を見つけて手を取って、いろんな色で染め上げてくれた。



そんな桃が好きだって、素直に思えるから。


だから、6月3日には、何かに変えて伝えよう。





そして今日の俺の誕生日には、桃も俺のように思っていてくれたら、なんて少し自惚れながら、箱に入った手づくりの菓子をばあちゃんと3人で食べよう。



















『大好きです。
生まれてきてくれて、
ありがとう。』






























HAPPY BIRTHDAY MOMO!









※配付期間は終了しました。ご了承下さい。
 
 

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