presents
□おそーじ★ぱにっく
1ページ/11ページ
「皆のもの、準備はよいかー!?」
頭にねじり鉢巻きを装着した朽木ルキアが、ゴム手袋をつけた拳を高く振り上げ声高らかに叫ぶ。
「うおーーー!!!」
それに対してテンションMAXで雑巾を振り回しながら答えるのは、今日この高校を卒業した3年生の生徒達。お世話になった先生や後輩、そして何より思い出のいっぱい詰まった学び家のためにも大掃除をして学校を去る、これがこの学校の伝統なのである。
しかし、今年の卒業生たちにはもう一つ、どうしても成し遂げねばならない重大な使命があったのだ───!
おそーじ★ぱにっく
大掃除の監督者は、先程も奇妙な姿で登場した美化委員長の朽木ルキアと副委員長の黒崎一護の二人だ。
「えー…じゃあ始め。」
「なんだ貴様、副委員長のくせにそんなやる気のない声を出すな!もっと私のようにビシッとやらぬか!」
やる気漫々のルキアに対し、一護は面倒臭そうに頭を掻いている。そしてもう一人、始めの合図でみんなが猛烈なダッシュで散り散りになっていくのを、気のない顔で見つめる青年がいた。
「日番谷くん!早くしないと他のクラスのみんなに先越されちゃうよ!」
雛森桃がそう言いながらぱたぱたとやって来たので、日番谷冬獅郎は彼女に疑問を投げかける。
「先越される、って何だよ…つーかなんで全員ただの掃除ごときでこんなになってんだ」
「ふぇ?!もしかして日番谷くん、教頭先生たちのお話聞いてなかったでしょ!」
雛森は口をとがらせながら制服のポケットからマスクを取り出し、言う。
「豪華ハワイ旅行だよ!日番谷くんは行きたくないの!?」
『…ハワイ旅行?』
何のことか見当もつかず首を傾げる日番谷の手をとり、真っ白なマスクを装着した雛森は全速力で駆け出した───